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■はじめに
1957年(昭和32年)混沌とする地域の希望の光となるべく、勇気・気概を持った同志が集まり、高松青年会議所(以下 高松JC)を誕生させたのは言うまでもありません。
地域の明日を憂い、次代の青年経済人としての義務と責任を感じ運動をスタートさせた先輩方。しかし、現在において多種多様な団体が数多く存在し、青年経済人が属する団体も増え、我々の存在意義や活動内容がより問われる時代となってきました。
だからこそ、我々は原点に返り、地域のリーダーと成るための義務と責任を自覚し、各々の資質を高め、決して論ずるだけで終わる事なく、地域の未来のために行動を起こしていかなくてはなりません。青年会議所は社交団体でもなければ、思い出を語る団体でもありません。地域社会に対して、夢や希望という明るい未来を語り・示し、それらを運動のビジョンとして掲げ、具現化していく団体であるべきです。妥協せず全力で運動に取り組んだ結果は必ず報われ、我々自身が地域社会から最も信頼され、必要とされ続ける存在という形で返ってくると確信しています。
諸先輩方が築き遺してくれた青年会議所の可能性を決して諦めず、これからも多くの同志と共に、地域に対してより積極的な変化を生み出し、誇り高きJAYCEE(※1)として自らの住むまち高松のため、そして世界の明るい未来のために、確固たる決意を持って行動して参ります。
■ひととして
リーマンショック後の日本経済は、以前よりも加速度を増し変化・悪化し続け、ひと・企業・地域を取り巻く環境も厳しくなってきています。いつの時代にも混乱はありましたが、出口のない入口はありません。
激しく厳しい時代を乗り越えてきた、ひと・企業・地域が兼ね備えていたものは強さや知識だけではなく、その時代の風を読む力や知恵、そして新しい事を始める勇気だと考えます。
「義を見てなさざるは、勇無きなり」 ひととしてなすべき事と知りながら、それを実行しないのは勇気がないからであるという意味です。自分のためだけではなく、ひとのために行動できる。幕末に生きた坂本龍馬達のように、はじめの一歩を踏み出す勇気と貫き通す信念を持って、行動できる人間力の高い人財を遺していく事が重要です。
人間力とは、「社会を構成し運営すると共に、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と考えます。また、人間力は、家庭・学校・地域及び企業等のそれぞれの場を通じて段階的・相乗的に醸成されるものであり、人間力強化のためには、それらの連携が不可欠とも考えます。
私たち高松JCは、明るい豊かなまちづくりのために、人間力の更なる向上を目指し運動・活動を展開して参ります。
■地域力向上
少子高齢化、核家族化、コミュニティの崩壊、地元への愛着心が薄れつつある現在、地域力を向上させるには、まず地域が抱える問題・課題・強みを住民が知り、関心
を持つ事が大切です。地域力向上を目指すためには、この4つの課題に取り組む必要があると考えます。
①活力溢れる地域
・地域ブランド発信・産業振興・国際化への取り組み
②地域の教育力を高める
・地域教育の充実・生涯学習への取り組み
③人にやさしい地域へ
・防災意識の向上・環境問題
④地域主権社会にふさわしい地域へ
・産学官・地域コミュニティとの連携
地域力を向上させていくには、市民が地域を誇りに思えるまちづくりを推進していかなくてはなりません。私たちにとって住みやすいまち・誇れるまち、魅力あるまちとは、どのような形態をしているのでしょう。私たちが住む高松には何があって何が足りないのでしょう。不足している部分を明確にして改善していく事が先決であり、将来、地域で育った子どもたちが、その地域で住みたいと思えるまちを創る事が、永続的に循環していく活力溢れるまちの礎となると確信しております。
また、防災・環境の観点からもまちづくりを考えていかなくてはなりません。
東北地方で起きた大災害で私たちは多くの教訓を得ました。この度の震災を対岸の火事で終わらすのではなく、近い将来必ず起こりうる、南海大地震に備え活用のできる防災マニュアルを作成するのは勿論の事、私たち市民が災害に対して認識を高め危機感を持つ事が一番の防災に繋がると信じております。そのためにも、減災・事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)に対する知識の習得は必要です。各諸団体と共に協働し、災害の少ないまち、災害に強い地域を目指し、市民・企業が安心できる体制を整えて参ります。
■日本人の心
前述の通り2011年3月11日に世界中を震撼させる天災が日本で起きてしまいました。東日本大震災 M9.0、地震だけではなく私たちの想像を超える津波が追い打ちをかけ、まちを次々とのみ込み、壊滅的な状況に追いやったのです。死者、行方不明者2万にも迫ろうという勢いで被害が拡大している中、世界中が日本人の行動に驚きと称賛を上げました。それは、生死をさまよう状況の中で、数少ない配給物資に列を成し、自分の順番を待つ日本人の姿が世界中の人々の心に一石を投じたのです。利己主義的な社会になりつつある今、こうした何気ない日本人の心を、私たちは広く伝播すると共に、後世へ伝え続けなければなりません。
また、このような行動は、日々の生活の中で親から子へ自然と受け継がれていくものだと考えます。子は親の鏡ならば模範となる親を磨く事が素晴らしい人財を遺していく近道です。思いや心は姿として見えなくても、行動により形として見えます。思いを行動に移せるひとが増えれば、素晴らしいまちになっていくと確信しています。
近江商人が「三方よし」・江戸商人が「江戸しぐさ」と言葉を遺したように、商人が礼儀作法・心配りを大切にしてきた素晴らしい教えが数多くあります。
「三方よし」の「売り手よし、買い手よし、世間よし」という考え方は、主に江戸時代に活躍した商人たちによって盛んに唱えられてきたそうです。
「江戸しぐさ」は、江戸商人のリーダーたちが築き上げた上に立つ者の行動哲学で、よき商人として、いかに生きるべきかという商人道であり人間関係を円滑にするための知恵でもありました。そして、彼らが起こした事業は、その後何代も続き、百貨店、商社、繊維会社などの有名な企業として今も残っています。
「江戸しぐさ」の本質は、「相手に対する思いやり」「己を律する心」であり、「言葉使い」や「振る舞い」にその心が表れています。幕末、日本を訪れた外国人は一様に日本人の特性に驚き、記録を残しています。その代表的な例として英国人、エドウィン・アーノルド(※2)(1832-1904)が1889(明治22)年、来日した折のスピーチがあります。「神のようにやさしい性質はさらに美しく、その魅力的な態度、その礼儀正しさは、謙譲ではあるが卑屈に堕する事なく、精巧であるが飾ることもない。これこそ日本を、人生を生きがいあらしめる、ほとんどすべての事において、あらゆる他国より一段と高い地位におくものである」
このように、日本人の心は、今も昔も高貴なものとして見られています。古来より引き継がれてきた精神文化・心を絶やさず継承していく事が大切です。
■次代を担う青年経済人として
我々は青年経済人として、また地域のリーダーと成るために、様々な観点から地域の発展を考えなければなりません。そのためには、各種団体と協働し共創共生ができるように努め、地域経済を牽引し、地域に根ざした運動を展開する事が必要です。また、私たちには地域社会から恩恵を受けている者としての義務と責任があります。次代を担う青年経済人としてその恩恵に報いるために、地域に誇れる・地域に必要とされる企業に成る事が必要です。活発な企業活動により、更に地域を元気にするために、企業経営にも力を入れていきたいと考えています。
昨今の日本経済衰退等の諸問題にどう対応していくのか問題は山積です。グローバル化が進み目まぐるしく変化をする時代、これからの国際化に向けて企業としてどのような対応をしていくか、地方の問題である少子高齢化・人口減少・支店経済崩壊等を踏まえ、5年後、10年後を見据えた企業経営をして行く必要があり、更に社会的支援を受けられている人たちやハンディーキャップを持った人たちとの共存共栄も、次代を担う経営者として考えなければならない重要な地域の課題です。
故松下幸之助は「商人道は人間道に通じる」また、二宮尊徳も「道徳なき経営は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」と説かれています。現在、多くの経営者が目先の利益にとらわれ大切な事を忘れています。重要な事は「商い」と「ビジネス」の違いを認識し、地域に必要とされる経営者・企業に成る事です。
■人財開発
地域のために私心を捨て、様々な分野で積極果敢な活動・挑戦を続け、社会貢献のために活動を行っている若者が数多く潜在しています。人間力溢れる若者たちとの出会いから多くの事を学びこの地域を共に照らしていきたい。そして私たちが積極的に対外に交流の場を設け、そんな地域の仲間へJCの魅力を伝えることができれば更に大きな輪となった運動を展開する事も可能であると考えます。個人の成長が組織の成長となり、組織の成長が地域力向上につながると信じ会員拡大にも注力して参ります。
最後になりますが、昨年は創立55年という節目の年に社団法人から公益社団法人へと移行し、創立60周年へ向けた新たな5ヶ年計画「Next Vision55」を提唱させて頂きました。常に変動する時代の中、変えていくものと変えてはならいものを見極め、次代の子どもたちのため、高松のため、そしてその一端を支える高松JCのため、次代のリーダーを育むべく、運動・活動に努めて参ります。
※1 JAYCEE・・・・・・・・青年会議所会員
※2 エドウィン・アーノルド(1832年~1904年)
イギリスの詩人・ジャーナリスト、ロンドン大学、オックスフォード大学で学び、インドのデカン大学の学長を務めた |